動画ID
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動画タイトル
「形骸」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
投稿日時
2021年4月2日 18時08分39秒
長さ
0:02:48
投稿者
残響レコードボカロ制作部 (ID:ch2647804)シアーミュージック (ID:3179885)
動画説明
僕はどこにいるんだろう。 空っぽの空間の中で、そう思う。 実際には、空っぽなんかではない。駅前の雑踏の中を僕は歩いているし、頭の上では電子公告がうるさく鳴り響いている。 巨大な広告板では「はばたけ、未来」とかなんとか謳って、清涼飲料がPRされている。 僕の手にはその清涼飲料があった。なんだかそれを持っているのも馬鹿らしくなって、ぐいとあおって中身を空にして、駅構内のゴミ箱に叩き込んだ。 こんな、いつもの日常。『僕』の全てはこの中にあると言っていい。 だが、『僕』は『日常』の中にあるだろうか。例えば、僕が僕でなくなって、『存在X』なんかになったとする。そうしたら、『日常』ってやつは崩壊するのだろうか、それとも、そんなのお構いなしにありつづけるのだろうか。 駅のホームに立つと、電源の入っていないホームドアが虚しく並んでいた。まだ運用を始めていないようだ。もちろんだがドアは開けっ放しで、飛び込もうと思えば簡単に身を投げることができる。 通過電車が走り抜けるというアナウンスが流れ、僕たち人間は一歩、下がる。 その中で、たった一人だけ逆方向に動く人間がいた。 電車は容赦なく通り過ぎる。その人は『人』から『存在X』になり、生きることをやめる。 ひそひそとそれを非難する声や迷惑そうに苛立つ声があちこちから聞こえて、そのうち駅員の大声がそれらを切り裂く。 僕は、あーあ、とだけ呟いて。 何もしなかった。 教室に入ると、男子の集まりが雑誌を持ってぎゃあぎゃあと騒いでいた。 どうやら、めくったページに載っている娘の誰が好みなのか、という話で盛り上がっているらしい。 僕は遠巻きにそのページを見てみたが、どれもこれも同じ顔、同じような体型、同じような化粧――全く同一とは言えずとも、ほとんど同じと言って差し支えない。 その集まりに合流することなく、僕は自席に座る。 窓の外を見ると、何かの光が反射した。女子の持っているスマートフォンの画面のようだった。 反射している女子の姿をよく見ると、スマートフォンを指し、にやにやと笑っている。0と1で出来た電気信号はそんなに楽しいのだろうか。 そんな奴らにボーダーを引く。 僕はあんな奴らとは違うんだ。じっとりと横線は僕を見つめる。 間違った認知が、僕の中でまっすぐに立つ。 毎日、毎日、こんなことの繰り返しだ。何があっても、時計は進む。 どこでだって同じようなことが起こっているし、どこかでは起こっていないのだろう。 ああ、授業中だというのにうるさいなあ。 後ろを振り向くと、にやついた男子たちが僕を見ていた。 僕はすぐに右手を挙げて、講師に保健室に行きたいという旨を伝えた。またか、と言われたがすぐに許可された。 あんな奴らと同じ人間だと思われたくない。そう思いながら、保健室の鏡を覗く。 くたびれた制服に包まれた男子生徒がそこには立っていた。「お前は、誰だ」 口に出してみるが、応えることはない。虚像なのだから当たり前だ。「正解って、なんだろうな」 鏡から目を離して、自分の右手を見つめる。握って、開いて。また握る。 きちんと動作しているのだから、僕は『存在X』なんかではないのだろう。 つまり――僕は、僕だ。 僕は、ここにいるじゃないか。現実感を持って、事実を受け入れて、生きていけばいいじゃないか。「なあ、僕はここにいるだろう?」 鏡に映った僕は、何も答えなかった。原作 金森璋「形骸」オケ→ https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1dd...​Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocaloDirector みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovels​Illustration 魚住山椒 https://twitter.com/since20191124​Movie Rerere

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2022年4月28日 7:44 (最新)「形骸」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
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2021年4月2日 18:40形骸|vflower
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2022年4月28日 7:44 (最新)僕はどこにいるんだろう。 空っぽの空間の中で、そう思う。 実際には、空っぽなんかではない。駅前の雑踏の中を僕は歩いているし、頭の上では電子公告がうるさく鳴り響いている。 巨大な広告板では「はばたけ、未来」とかなんとか謳って、清涼飲料がPRされている。 僕の手にはその清涼飲料があった。なんだかそれを持っているのも馬鹿らしくなって、ぐいとあおって中身を空にして、駅構内のゴミ箱に叩き込んだ。 こんな、いつもの日常。『僕』の全てはこの中にあると言っていい。 だが、『僕』は『日常』の中にあるだろうか。例えば、僕が僕でなくなって、『存在X』なんかになったとする。そうしたら、『日常』ってやつは崩壊するのだろうか、それとも、そんなのお構いなしにありつづけるのだろうか。 駅のホームに立つと、電源の入っていないホームドアが虚しく並んでいた。まだ運用を始めていないようだ。もちろんだがドアは開けっ放しで、飛び込もうと思えば簡単に身を投げることができる。 通過電車が走り抜けるというアナウンスが流れ、僕たち人間は一歩、下がる。 その中で、たった一人だけ逆方向に動く人間がいた。 電車は容赦なく通り過ぎる。その人は『人』から『存在X』になり、生きることをやめる。 ひそひそとそれを非難する声や迷惑そうに苛立つ声があちこちから聞こえて、そのうち駅員の大声がそれらを切り裂く。 僕は、あーあ、とだけ呟いて。 何もしなかった。 教室に入ると、男子の集まりが雑誌を持ってぎゃあぎゃあと騒いでいた。 どうやら、めくったページに載っている娘の誰が好みなのか、という話で盛り上がっているらしい。 僕は遠巻きにそのページを見てみたが、どれもこれも同じ顔、同じような体型、同じような化粧――全く同一とは言えずとも、ほとんど同じと言って差し支えない。 その集まりに合流することなく、僕は自席に座る。 窓の外を見ると、何かの光が反射した。女子の持っているスマートフォンの画面のようだった。 反射している女子の姿をよく見ると、スマートフォンを指し、にやにやと笑っている。0と1で出来た電気信号はそんなに楽しいのだろうか。 そんな奴らにボーダーを引く。 僕はあんな奴らとは違うんだ。じっとりと横線は僕を見つめる。 間違った認知が、僕の中でまっすぐに立つ。 毎日、毎日、こんなことの繰り返しだ。何があっても、時計は進む。 どこでだって同じようなことが起こっているし、どこかでは起こっていないのだろう。 ああ、授業中だというのにうるさいなあ。 後ろを振り向くと、にやついた男子たちが僕を見ていた。 僕はすぐに右手を挙げて、講師に保健室に行きたいという旨を伝えた。またか、と言われたがすぐに許可された。 あんな奴らと同じ人間だと思われたくない。そう思いながら、保健室の鏡を覗く。 くたびれた制服に包まれた男子生徒がそこには立っていた。「お前は、誰だ」 口に出してみるが、応えることはない。虚像なのだから当たり前だ。「正解って、なんだろうな」 鏡から目を離して、自分の右手を見つめる。握って、開いて。また握る。 きちんと動作しているのだから、僕は『存在X』なんかではないのだろう。 つまり――僕は、僕だ。 僕は、ここにいるじゃないか。現実感を持って、事実を受け入れて、生きていけばいいじゃないか。「なあ、僕はここにいるだろう?」 鏡に映った僕は、何も答えなかった。原作 金森璋「形骸」オケ→ https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1dd...​Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocaloDirector みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovels​Illustration 魚住山椒 https://twitter.com/since20191124​Movie Rerere
2021年4月2日 18:40僕はどこにいるんだろう。 空っぽの空間の中で、そう思う。 実際には、空っぽなんかではない。駅前の雑踏の中を僕は歩いているし、頭の上では電子公告がうるさく鳴り響いている。 巨大な広告板では「はばたけ、未来」とかなんとか謳って、清涼飲料がPRされている。 僕の手にはその清涼飲料があった。なんだかそれを持っているのも馬鹿らしくなって、ぐいとあおって中身を空にして、駅構内のゴミ箱に叩き込んだ。 こんな、いつもの日常。『僕』の全てはこの中にあると言っていい。 だが、『僕』は『日常』の中にあるだろうか。例えば、僕が僕でなくなって、『存在X』なんかになったとする。そうしたら、『日常』ってやつは崩壊するのだろうか、それとも、そんなのお構いなしにありつづけるのだろうか。 駅のホームに立つと、電源の入っていないホームドアが虚しく並んでいた。まだ運用を始めていないようだ。もちろんだがドアは開けっ放しで、飛び込もうと思えば簡単に身を投げることができる。 通過電車が走り抜けるというアナウンスが流れ、僕たち人間は一歩、下がる。 その中で、たった一人だけ逆方向に動く人間がいた。 電車は容赦なく通り過ぎる。その人は『人』から『存在X』になり、生きることをやめる。 ひそひそとそれを非難する声や迷惑そうに苛立つ声があちこちから聞こえて、そのうち駅員の大声がそれらを切り裂く。 僕は、あーあ、とだけ呟いて。 何もしなかった。 教室に入ると、男子の集まりが雑誌を持ってぎゃあぎゃあと騒いでいた。 どうやら、めくったページに載っている娘の誰が好みなのか、という話で盛り上がっているらしい。 僕は遠巻きにそのページを見てみたが、どれもこれも同じ顔、同じような体型、同じような化粧――全く同一とは言えずとも、ほとんど同じと言って差し支えない。 その集まりに合流することなく、僕は自席に座る。 窓の外を見ると、何かの光が反射した。女子の持っているスマートフォンの画面のようだった。 反射している女子の姿をよく見ると、スマートフォンを指し、にやにやと笑っている。0と1で出来た電気信号はそんなに楽しいのだろうか。 そんな奴らにボーダーを引く。 僕はあんな奴らとは違うんだ。じっとりと横線は僕を見つめる。 間違った認知が、僕の中でまっすぐに立つ。 毎日、毎日、こんなことの繰り返しだ。何があっても、時計は進む。 どこでだって同じようなことが起こっているし、どこかでは起こっていないのだろう。 ああ、授業中だというのにうるさいなあ。 後ろを振り向くと、にやついた男子たちが僕を見ていた。 僕はすぐに右手を挙げて、講師に保健室に行きたいという旨を伝えた。またか、と言われたがすぐに許可された。 あんな奴らと同じ人間だと思われたくない。そう思いながら、保健室の鏡を覗く。 くたびれた制服に包まれた男子生徒がそこには立っていた。「お前は、誰だ」 口に出してみるが、応えることはない。虚像なのだから当たり前だ。「正解って、なんだろうな」 鏡から目を離して、自分の右手を見つめる。握って、開いて。また握る。 きちんと動作しているのだから、僕は『存在X』なんかではないのだろう。 つまり――僕は、僕だ。 僕は、ここにいるじゃないか。現実感を持って、事実を受け入れて、生きていけばいいじゃないか。「なあ、僕はここにいるだろう?」 鏡に映った僕は、何も答えなかった。原作 金森璋「形骸」オケ→ https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1dd...​Produce 残響レコードボカロ制作部Director みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovels​Illustration 魚住山椒 https://twitter.com/since20191124​Movie Rerere
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